にごりえ

提供: nigowiki
移動先: 案内検索

 「にごりえ」は一葉の代表作の一つ。新開地の銘酒屋で人気の私娼お力は、昔の男への親切から突然の死を迎える事件に遭遇する。

 『文芸倶楽部』第1巻第九篇(明治28年(1895年)9月)初出。

登場人物

  • お力 - 主人公。銘酒屋の私娼。一葉宅の近所にあった鈴木亭の酌婦のお留がモデルといわれる。
  • 源七 - お力と付き合っていたが、今は妻子を持ち。以前は蒲団屋で繁盛していたが、今は土方の手伝い。
  • 結城朝之助 - 高等遊民の男性。お力の客。
  • お初 - 源七の妻
  • 太吉(太吉郎) - 源七とお初の子

あらすじ

 私娼お力は銘酒屋の看板ともいえる存在でいつもは威勢がいい。ところが急に物思いに耽り、暗い衝動に駆られている。高等遊民の結城朝之助はそんなお力に関心を寄せて客となるが、内心を打ち明けるまでには至らない。彼女の思いは以前につきあいのあった源七にあるが、すでに妻子持ちとなっていた。源七は仕事がうまくいかず妻との諍いも絶えない。そんなとき、お力はちょっとした親切心から源七の子にお菓子をあげてしまう。妻はお菓子が以前に恋仲だったお力のものだったことを知り激高する。源七は自分の覚え知らないことだと説明するが、妻は理解しようとはしない。最後には、源七は妻子を家から追い出してしまった。しばらく後の盆供養が終わった晩に、源七とお力は心中してしまう。無理か合意かと噂されるが、そんな話も時間と共に忘れ去られていった。

トピック

  • 「にごりえ」以前の題名として、「物ぐるひ」、「親ゆづり」、「放れ駒」などが草稿に書かれている。
  • 和田芳恵は『愛の歪み』(S.44)の中で幸田文『流れる』との類似性を指摘した。

原文